昨日5月17日の晩、Hakuiu Hallで開催された、澤クワルテットのベートーヴェン中期&後期全4回シリーズ最終回を拝聴させていただきました。コロナ禍とメンバーのお怪我のために2度の延期を経ての実現とのことで、リーダーの澤和樹先生はじめ、第2ヴァイオリンの大関博明さん、ヴィオラの市坪俊彦さ、チェロの林俊昭さんの気迫は並々ではなく、真摯で熱のこもった、しかし程よい抑制の効いた、作品132と作品130の大フーガつきのほうが演奏されました。
みるからに火花を散らして丁々発止とアグレッシヴにぶつかり合うタイプではなく、樽に寝かせたヴィンテージ・ウィスキーのような熟成度の高いアンサンブルがこのクワルテットの持ち味でございます。その琥珀色の音色と落ち着きのある佇まいは、ベートーヴェンの後期にふさわしいものでした。とはいえ、作品130の終楽章に敢えて本来の大フーガを据えて、精緻きわまりない3つのフーガを自由闊達に繰り広げる場面では、激しく奔放なやり取りも聴くことができ、表現の幅広さもたっぷりと味わわせていただきました。澤先生の魅惑の音色はもとより、お一人お一人の音色がそれぞれ味わいゆたかでした。
最後に澤先生のこんな愉快なご挨拶がございました。
「規範としてきた、アマデウス弦楽四重奏団は同一メンバーで39年間続きました。わたしたちも1990年の結成から32年、同一メンバーでやってきましたので、あと8年頑張れば、彼らを抜けるかな、と。その時には平均年齢75歳になっていて後期高齢者ですが、後期高齢者クワルテットによるベートーヴェンの後期に挑戦したいと思っています」
そして「重い2曲のあとなので、アンコールは不要かとも思いましたが、せっかくなので」と、最後の弦楽四重奏曲である第16番作品135の第3楽章をサービスしてくださいました。 ところで、上の写真のアマデウス弦楽四重奏団は、第二次大戦中に適性外国人としてイギリス、マン島の収容所に入れられた3人のユダヤ人の若者が同じ境遇の名ヴァイオリニスト、マックス・ロスタル先生のもとで腕を磨き、解放された後、ロスタル先生を通じて知り合ったイギリス人チェリスト、マーティン・ロヴェットさん(一番左)を加えて1948年に結成した団体です。世界でも稀有なことに、完全同一メンバーでずっと活動を続けましたが、1987年8月、ヴィオラのペーター・シドロフさん(左から3人目)の死をもって、活動を停止したのです。どんなにか、残念無念だったことでしょう。
澤クワルテットのみなさま、どうぞ、この先人クワルテットをお抜きになって、ギネス記録を作ってくださいませ。心より応援させていただきます。
2022年5月18日記

みるからに火花を散らして丁々発止とアグレッシヴにぶつかり合うタイプではなく、樽に寝かせたヴィンテージ・ウィスキーのような熟成度の高いアンサンブルがこのクワルテットの持ち味でございます。その琥珀色の音色と落ち着きのある佇まいは、ベートーヴェンの後期にふさわしいものでした。とはいえ、作品130の終楽章に敢えて本来の大フーガを据えて、精緻きわまりない3つのフーガを自由闊達に繰り広げる場面では、激しく奔放なやり取りも聴くことができ、表現の幅広さもたっぷりと味わわせていただきました。澤先生の魅惑の音色はもとより、お一人お一人の音色がそれぞれ味わいゆたかでした。
最後に澤先生のこんな愉快なご挨拶がございました。
「規範としてきた、アマデウス弦楽四重奏団は同一メンバーで39年間続きました。わたしたちも1990年の結成から32年、同一メンバーでやってきましたので、あと8年頑張れば、彼らを抜けるかな、と。その時には平均年齢75歳になっていて後期高齢者ですが、後期高齢者クワルテットによるベートーヴェンの後期に挑戦したいと思っています」
そして「重い2曲のあとなので、アンコールは不要かとも思いましたが、せっかくなので」と、最後の弦楽四重奏曲である第16番作品135の第3楽章をサービスしてくださいました。 ところで、上の写真のアマデウス弦楽四重奏団は、第二次大戦中に適性外国人としてイギリス、マン島の収容所に入れられた3人のユダヤ人の若者が同じ境遇の名ヴァイオリニスト、マックス・ロスタル先生のもとで腕を磨き、解放された後、ロスタル先生を通じて知り合ったイギリス人チェリスト、マーティン・ロヴェットさん(一番左)を加えて1948年に結成した団体です。世界でも稀有なことに、完全同一メンバーでずっと活動を続けましたが、1987年8月、ヴィオラのペーター・シドロフさん(左から3人目)の死をもって、活動を停止したのです。どんなにか、残念無念だったことでしょう。
澤クワルテットのみなさま、どうぞ、この先人クワルテットをお抜きになって、ギネス記録を作ってくださいませ。心より応援させていただきます。
2022年5月18日記

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