ドビュッシーが心血を注いだ彼唯一のオペラ『ペレアスとメリザンド』は、1902年の本日4月30日に、アンドレ・メサジェの指揮によりパリ、オペラコミーク座で初演されました。
 『青い鳥』で有名なベルギーの劇作家モーリス・メーテルランクの同名原作戯曲は多くの作曲家を魅了し、次のような音楽作品が生まれています。

 

フォーレ(1845-1924)   :劇付随音楽とオーケストラ組曲   1900

ドビュッシー(1862-1918) :オペラ             1902年初演

シェーンベルク(1874-1951) :交響詩            1903

シベリウス(1865-1957     :劇付随音楽とオーケストラ組曲    1905

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 ドビュッシーはこの作品の神秘的な象徴性に強く惹かれたとみえ、1893年からオペラ化に着手、原作者メーテルランクとの交渉を進めながら書き進めます。台本には、メーテルランクの戯曲台本をほぼそのまま用いるという形でオペラ化の承諾を得ますが、原作者との意見の相違などもあって、道は平たんではありませんでした。

 例えば、メーテルランクは、メリザンド役に自分の愛人の女優ジョルジェット・ルブラン強く推したそうですが、ドビュッシーは頑としてはねつけました。ジョルジェットは『怪盗アルセーヌ・ルパン』の作家モーリス・ルブランの妹さんですから、こういう人間関係のつながりはおもしろく存じます。のちに、彼女はめでたくメーテルランク夫人となられています。。

 そのようないきさつもあり、ようやく初演できた本日は、ドビュッシーにとって万感こもごもの大きな記念日となったことでしょう。
 小平楽友サークルでは現在、ドビュッシー・シリーズを継続中で、この大作オペラは5月25日と6月1日の2回に分けて鑑賞いたします。
 ご関心のあられる方は、西武多摩湖線青梅街道駅4分、小平中央公民館へ、直接おいでくださいませ。時間は10:00~12:00の2時間。飛び入り参加は資料代のみで可能でございます。
 プロダクションは次の作品です。最大の見どころは、バルコニーから下までたれさがったメリザンド役のアリスン・ハーグレイさんの本物の長ーーーーーい髪を、ペレアス役の二―ル・アーチャーさんがいとおしそうに愛撫するシーン。
 これは見逃せません。どうぞ、いらしてくださいませ。

■ドビュッシー『ペレアスとメリザンド』

1992年、カーディフ・ニューシアター ライヴ映像

指揮:ピエール・ブーレーズ(1925-2016

演出:ペーター・シュタイン(1937~)

音楽:ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団合唱団

キャスト

 ペレアス:ニ―ル・アーチャー         テノール

 メリザンド:アリスン・ハーグレイ       ソプラノ

 ゴロー:ドナルド・マクスウェル        バリトン

 アルケル:ケネス・コックス          バス

 ジュヌヴィエーヴ:ペネロープ・ウォーカー   メゾソプラノ 

 イニョルド:サミュエル・パーキー       ボーイソプラノ
                                    2022年4月30日記