12歳のキーシンさまのあの愛らしい演奏映像に触れて以来、もう長いこと、この方の演奏に魅了されてまいりました。それが、なぜなのか、ただただ、この方のピアノには聴く者の心に熱く届く何かがあるとのみ、漠然と感じてまいりましたが、昨日のブログでご紹介した彼のあまりにも決然とした、考える力とものを言う勇気を兼ね備えた人間力ゆえに、これほどまでに引き付けられるのだということが、はっきりと自覚できました。
 ここ25年くらいの来日公演はほとんど拝聴し、多くのアルバムも愛聴させていただいておりますが、本日はその中でもことに胸打たれてやまない、シューマン『クライスレリアーナ』他を聴きました。
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巻頭はブゾーニ編のバッハのニ短調シャコンヌ、そして、ベートーヴェンの『ロンド』2曲ですが、2曲目は痛快無比な『ロンド・ア・ラ・カプリッチョ・失くした小銭への怒り』。なんて胸のすく演奏でございましょう。これは後世の作り話かも存じませんが、小銭をなくして、地団太踏む、ベートーヴェンの腹立ちが、直截に伝わってまいります。
 そしてそのあといよいよ、ロベルトの、楽長クライスラーへのオマージュであり、クララへの愛の吐息である『クライスレリアーナ』なのでございます。
 このような『クライスレリアーナ』をお弾きになるキーシンさまゆえ、カナダのmediaへのあの勇気溢れるご発言があるのだと、痛感いたしました次第でございます。他にも多数の名アルバムがございます。
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 再び、カナダのmediaの記事へリンクいたします。

https://www.createastir.ca/articles/vancouver-recital-society-evgeny-kissin




                                  2022年4月25日記