一昨日,AFP通信が、キーウ交響楽団の国外ツアー記事を報じました。
 えっ、今この時に、そんなことが可能なの、とわたくしは最初、わが目を疑いましたが、本当のことでした。そして、最初のツアー地がポーランドのワルシャワ、コンサート会場はショパン国際コンクールの会場であるワルシャワ・フィルハーモニーと知って、ああ、そうだったのか、だからこそツアーが実現されたのだと、感涙にむせびました。ご覧くださいませ。リハーサルをするメンバーのおズボンのお色と生き生きとした表情を!
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 現在のポーランドの方々のウクライナ支援の温かな志と、ロシアに虐げられた時代のポーランド国民、及びショパンの憤怒の気持ちが重なって、胸が熱くなりました。
   会場のフィルハーモニーは、不肖わたくしの4度にわたるコンクール取材時に連日通い詰めた懐かしのホール。今ここに、キーウ交響楽団コンサートのポスターが貼られているのを見ると、感無量でございます。
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 記事を貼り付けさせていただきます。

【4月21日 AFP】 発信地:ワルシャワ/ポーランド [ ポーランド ヨーロッパ ウクライナ ロシア ロシア・CIS ]

 ウクライナのキーウ交響楽団(Kyiv Symphony Orchestra)は21日、ロシアの侵攻を受けて以来初となるコンサートツアーを開始する。楽団員らは音楽が苦しむ人々の魂を癒やし、ウクライナ文化のPRに貢献することを期待している。

 ロシアの爆撃音に耐えかねて国外に避難した楽団員もいる。国内にとどまった楽団員も自宅を離れざるを得なくなり、家族の前や防空壕(ごう)でしか演奏できなかった。  
 欧州ツアーは、ポーランドのワルシャワ・フィルハーモニーホール(Warsaw Philharmonic)から始まる。

 第2バイオリン奏者のオレクシー・プシェニチニコフ(Oleksii Pshenychnikov)さん(22)はリハーサルの合間にAFPの取材に応じ「私たちのコンサートは、まさに文化的使命を負っている」と語った。

「ウクライナでは、『文化戦線』があると言われている。戦争から逃げているわけではない。これは戦争のもう一つの側面だ」

 ウクライナ政府は戒厳令で戦える年齢の男性の出国を禁止したが、楽団員の男性はこのツアーが終わるまで特別に免除される。

 ウクライナが侵攻を受けた日に同国入りする予定だったイタリア人指揮者のルイジ・ガッジェロ(Luigi Gaggero)氏は、他の会場もキーウ交響楽団を呼んでほしいと話した。「可能なら戦争が終わるまで」

「楽団員らは仕事だけでなく、音楽という存在意義そのものを懐かしく思っている。彼らにとって音楽は空気のようなもので、やっと息ができるようになった」と語った。  
 家族を帯同している楽団員もいるが、ウクライナ南部と東部で戦闘が激化する中、誰もが祖国に残してきた大切な人のことを思っている。

 リハーサルと並行してセラピーも行われた。楽団員は当初、懐疑的だったが、主催者によると、徐々に参加者が増えたという。

 21日のコンサートでは、ウクライナ人作曲家マクシム・ベレゾフスキー(Maxim Berezovsky)やボリス・リャトシンスキー(Boris Lyatoshynsky)、ポーランド人作曲家ヘンリク・ヴィエニャフスキ(Henryk Wieniawski)の曲などを演奏する。

 エリザベータ・ザイチェワ(Elizaveta Zaitseva)さん(25)は、戦争のおかげなのが残念だが、あまり知られていない作曲家を西側諸国に知らしめるのは「私たちの文化にとって大きなチャンス」だと述べた。

 ザイチェワさんは、自分たちの奏でる音楽が「人々の魂」に届くことを願っている。

「私たちは音楽と芸術を通じて人々の魂と話し、心に私たちの痛みと願い、希望を届けている」 (c)AFP/Dario THUBURN

 日本にもお招き出来たら嬉しいことと存じます。
                               2022年4月23日記