昨日のオリコンニュース他が、メゾソプラノの藤村実穂子さんのグラミー賞受賞を報じました。
藤村実穂子さん、おめでとうございます。
東京藝術大学ご卒業後、ミュンヘン音楽大学に学ばれてヨーロッパ各地の歌劇場で歌い、2002年のバイロイト音楽祭『指輪』ツィクルスで、日本人として初めてフリッカを歌って大成功を収められた藤村さんは、その後も毎年同音楽祭に招かれて、ワルトラウテ、エルダ、ブランゲーネ、クンドリ―などで絶賛されました。
ずっとヨーロッパを拠点とされておられますが、日本でも、2001~04年新国立劇場の『トウキョウリング』にご出演、フリッカ、ワルトラウテで絶賛されたのを始め、同劇場の『ドン・カルロ』『イドメネオ』などに出演されました。まことに、フリッカその人のような歌唱と演技、存在感には圧倒されました。
また、新日フィルとの『ばらの騎士』『大地の歌』、N響との第九、マーラーの3番なども強いインパクトがございました。一方、「ヴェーゼンドンク歌曲集」『亡き子を偲ぶ歌』なども胸に刺さりました。
ところで、下記の記事中に「コーラスマスター」という言葉がございますが、藤村さんは合唱団のリーダーではなく、メゾソプラノのソリストでいらっしゃいます。
また、この記事には書かれていませんが、このグラミー賞の栄えある授賞式に、ウクライナのゼレンスキー大統領が、事前に収録したビデオ・メッセージでサプライズ出演されて同国への支援を強く訴えました。ゼレンスキー大統領のメッセージは次の通りでございます。

「戦争、これほど音楽とかけ離れているものがあるでしょうか。わたしたちウクライナのミュージシャンはタキシードの代わりに防弾チョッキを着て、負傷者に向けて歌っているのです。
わたしたちは、爆弾でわたしたちを脅かして恐ろしい沈黙をもたらすロシアと戦っています。皆さんの音楽で、この恐ろしい沈黙を埋めていただきたい。どんな方法でもいいから、わたしたちを支援してほしい。どんな方法でもかまいません。しかし、それは沈黙以外の方法です」
グラミー賞の運営当局に深い敬意を捧げます。
音楽家の皆様も、音楽愛好家の皆様も、ゼレンスキー大統領の命がけの訴えに、何らかの形でぜひお応えしようではございませんか。
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