1月22日、ミューザ川崎シンフォニーホールで、同ホールと東京交響楽団の共同主催シリーズ「名曲全集」第173回を拝聴してまいりました。チェロ協奏曲第1番イ短調と交響曲第3番ハ短調『オルガン付き』という、たいへん充実したと申しますか、まさに垂涎のサン=サーンス・ブログラムです。指揮者はピエール・ブリューズ・マエストロの来日不能につき、滞日中のユペール・スダーン・マエストロに交代、ソリストも、かのクレメンス・ハーゲンの愛娘、ユリア・ハーゲンさんからわが国のこの世代女性のトップ・ソリストと呼んでよい上村文乃さんに代わりましたが、はじめからのキャスティングであるかのような堂々たる演奏ぶりで会場を沸かせました。
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 文乃さんからは以前、この協奏曲はお小さい頃からのお得意レパートリーだというお話を伺ったことがございますが、実に自家薬籠中のレパートリーというにふさわしい、手のうちに入った演奏で、しかも、決してルーティンに陥ることなく、溌溂とした生気と瑞々しいアイディアにあふれていました。
 アンコールは藤倉大さんの「sweet suites」。ぴりりと引き締まったアンコールです。

 オルガン付きの、オルガンソロの大木麻理さんは当初から予定された出演者でいらっしゃり、この方のオルガンもお見事でした。ステージ後方上部のオルガン席ではなく、ステージからの演奏でいらっしゃいました。 
  オーケストラ・アンコールはオッフェンバック「ホフマンの舟歌」。夢幻的な美しさに満たされた演奏でした。
                                       2022年1月23日記