弦楽四重奏研究家として「世界の弦楽四重奏団とそのレコード』全6巻、『ウィーンの弦楽四重奏団200年史』などの著書も著され、作・編曲家として『弦楽四重奏のための日本民謡集」の作曲も手掛けられた幸松肇さまが、1月14日にご逝去されました。大晦日恒例の、ベートーヴェン中期・後期弦楽四重奏曲長時間演奏会にもお出かけだったほどお元気でいらしたのですが、心臓のご持病により1月14日に、突然のご最期をお迎えになられたということでございます。
   家族葬にご出席なさった友人、辰野さまより、貴重なお写真をお送りいただきましたので、本日1月23日にここにアップさせていただきます。(1月23日写真追加)
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 1月20日に、ごく近しい方たちのみの家族葬が営まれ、皆様の献花のあと、お身内同然のカルテット・エクセルシオのメンバーが『日本民謡集』より3曲を献奏なさったと伺いました。燕尾服姿、愛用の指揮棒と共に棺に納められた幸松さまは、とても穏やかなお顔だったそうでございます。
 わたくしは2003年の拙著『幸田姉妹』をお読みいただいて以来のおつきあいでございましたが、いつも、「今度ゆっくり、一杯やりながら話しましょう」とおっしゃっていただいて「いいですね。ええ、ぜひ」の繰り返しで、ついにその機会を頂戴できないまま、突然のお別れとなってしまいました。
 あの、温和で滋味にあふれた、やさしいお顔が目に浮かびます。こんなことなら、「今度とおっしゃらず、今日、行きつけのお店にごいっしょさせてくださいませ」と申し上げればよかった、そうすれば、弦楽四重奏や弦楽器の音楽、往年の巨匠たちについて深いお話をうかがえたのに、と悔やまれてなりません。
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 じかにお話を聴かせていただけなくて残念ですが、ご著書から学ばせていただきます。
 幸松肇さま、どうぞ、お安らかにお眠りくださいませ。
                                       2022年月21日記