昨晩、東京オペラシティコンサートホールで藤田真央さんのリサイタルを拝聴し、その満天の星空のような、無限大の広がりとまばゆい煌めきを兼ね備えた類まれなる音楽的資質に、あらためて感動いたしてまいりました。
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 1998年生れの真央さんを初めて聴いたのは、彼が14歳くらいの頃ときだったかと存じますが、その頃から天衣無縫の演奏で将来の大器を予感させておいででした。果たして、2019年にはチャイコフスキー・コンクールに第2位入賞なさいました。  
 一昨年のコロナ禍直前には、西フランスのナントでお会いしてインタビューもさせていただき、独特の天真爛漫な語り口と率直な打ち明け話にも魅了されたことを思い出します。超売れっ子でいらして、そのときもヨーロッパ諸都市をめぐっておいでで、あまりのお忙しさにショパンコンクールの申し込み時期を逸したと笑っておられましたが、もしも、申し込みができていらしたら、入賞者地図が大きく塗り替わっていたことでしょう。
 昨晩のプログラムは下記の通りです。

  • ●ショパン:2つのノクターン Op. 48
  • ●ショパン:バラード 第3番 変イ長調 Op. 47
  • ●リスト:バラード 第2番 ロ短調 S. 171 R. 16
  • ●ブラームス:主題と変奏 ニ短調 Op. 18b
  • ●クララ・シューマン:3つのロマンス Op. 21
  • ●ロベルト・シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 Op. 22
  •  周到に関連付けた曲配置。多彩な引出から惜しげもなくさまざまな、タッチ、音楽表現を取り出して無尽蔵な奥行きのある世界が構築されました。
  •  驚くべきは、アンコールにラフマニノフの『幻想小品集』作品3の「エレジー」をお弾きになったことです。というのも、そこからすぐにアタッカで「鐘のプレリュード」をお弾きになり、あららと思うと「メロディ」も続け、さらに「道化師」ついに「セレナード」まで、全6曲を弾きとおされてしまったのです。この間約20分。全6曲が一つの音楽宇宙をなして、壮大なアンコール劇場となりました。
  •                                        2022年月20日記
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