昨晩の日本フィル第737回東京定期演奏会では、阪哲朗マエストロ、生田流筝曲の遠藤千晶さん、そして、木野雅之コンマスはじめ日フィル楽員の皆様の香気ゆたかな演奏のおかげで、心の洗われるようなコンサートとなりました。
 写真を何点か撮っていただいたのですが、どれも照明をバックとしてしまったため、ぼやけてしまいました。これは、マエストロの楽屋前で、日フィル平井理事長、福井常務理事とのショット。
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 阪マエストロは、小編成オーケストラからしなやかで気品ある音楽を引きだされ、遠藤千晶さんは、『乱輪舌』と『六段の調』という古典の二大名曲のあいだに、石井真木さんが昭和~平成にかけての泣く子も黙る筝ウィルトゥオーゾ、沢井忠夫さんのために書いた協奏作品の難曲『雅影』をまことにお見事に演奏なさいました。
 『雅影』は、沢井忠夫さん亡きあと、奥様の沢井一恵さんが、石井さんご自身編曲の筝アンサンブルとの協奏曲としてお弾きになられたかと存じますが、他の筝曲家の演奏例はあまり存じ上げません。遠藤さんのソロは久々の快挙ではないでしょうか。『乱輪舌』をベースにあらゆる作曲の技の投入された曲もまことによくできていますが、遠藤さんはその聴きどころを余すところなく引きだされましたし、マエストロは対向型に配したオーケストラを巧みにドライヴなさり、両者に輝かしい命をお与えになりました。
 後半のブラームス3番も対向配置でした。日フィルの対向はたいへんめずらしく、メンバーも勝手が違われたかと思いますが、マエストロがセカンド・ヴァイオリンに温かな目配りを欠かすことなく、全体をやさしくリードなさって、温かみのある響きを生み出しておられました。
 今日もこれからサントリーホールに伺い、プレトークをさせていただいてまいります。