ベートーヴェンのお誕生日当日にあたる、昨晩12月16日は、山田和樹マエストロ指揮、篠崎史紀コンサートマスターによるNHK交響楽団演奏会に出掛け、下記のプログラムを拝聴してまいりました。
グスタフ・マーラー:花の章
リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
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 マーラーの《花の章》は、彼の交響曲第1番の第2楽章として作曲されながら、のちにはずされた楽章です。マーラーは他の4つの楽章にもすべて標題を付けていましたが、それら標題も排されて、4楽章からなる、標題性のない交響曲として今日に伝わりました。でも、はずされたもとの第2楽章であるこの曲は、たいへんまろやかなトランペット・ソロを伴うロマンティックな作品で、このように独立して採り上げられ、あるいは、《花の章》つき第1番、として演奏されることもございます。当夜のトランペット・ソロはたいへん柔らかな音色で吹いてくださり、個々の楽器の魅力に改めて開眼いたしました。
 《最後の4つの歌>のソリストは、これを十八番とする佐々木典子さん。
 1曲ごとに、人生の秋から冬へと旅するような心持を味わわせていただきました。
 そして《エロイカ》。山田マエストロの表情豊かな指揮ぶりと、それをことごとく受け止めて表現するN響のレスポンスの良さに感嘆いたしました。
                                    2021年12月17日記