太平洋戦争開戦の年、昭和16年に作曲された、伊福部昭の大作を昨晩聴いてまいりました。『ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲』は翌昭和17年3月に松隈陽子のピアノ、マンフレッド・グルリット指揮の東京交響楽団(現在の東京フィル)によって初演されたあと、スコアもパート譜も空襲で焼失したものと思われていたそうです。それが、1997年に発見されて、舘野泉先生のピアノで復活蘇演されました。
 釧路に生まれ、北海道帝国大学を卒業して道庁厚岸森林事務所に勤めながら、こつこつと曲を書いた伊福部はアカデミズムとは遠いところにいた作曲家で、その作品には大地に根ざした原始的エネルギーの爆発があり、日本の民俗音階の旋法も息づいていて、独特の魅力がございます。
 小山実稚恵さんのピアノは、その魅力をことごとく引き出した入魂の名演でした。
DSC_3783

 第1、第3楽章のダイナミックな民俗エネルギーの発露にも息を飲みましたが、ラヴェルの協奏曲のそれにも似通った中間楽章の静かな抒情の表現にも胸を打たれました。
 下野竜也マエストロとオーケストラもお見事。イングリッシュホルン、クラリネット、バスクラリネット、ファゴット、ヴィオラ、スネア・・・・・、みなさまに乾杯!!
                              2021年7月29日月記