庭のミツマタが満開です。家を建て替えました時に庭もそっくり造園し直しましたが、その際、庭師さんが から池のほとりに、前の庭にはなかった見知らぬ低木を植えていきました。枝分かれ部分が規則正しく、必ず3つに分岐する「造化の妙」とでも呼びたくなる律儀なこの低木がミツマタでした。
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春を真っ先に告げて開花しますが、花はすべてうつむきがちに下向きにつけるという、シャイないじらしい樹木です。2年目の今年も2月半ばから咲き始め、今が真っ盛りです。甘い芳香はどこかで嗅いだことがあると思いましたら、ジンチョウゲ科だということで、なるほどと思いました。
 こちらが上からとった写真です。3つまた分岐がお分かりいただけますでしょうか。
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 ミツマタの奥の石は、戦前に祖父が石屋さんに運んでいただいた佐渡の青石で、お猿さんがちょこんと座っているように見える姿から「猿石」の名があります。愛着のある石はいくつか延命いたしましたが、その中でもとりわけ好きな石です。
   建て替え前の庭がこちらです。これのほうが、「猿石」の名前をご納得いただけるでしょう。

 
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 ところで、3という数は、わたくしたちに親しみを感じさせるようで、クラシック音楽にも「3大〇〇」と名づけられている作品は少なからず見出せます。
 例えば、ベートーヴェンの3大ソナタといえば、『悲愴』『月光』『熱情』を思い浮かべられる方も多いでしょうし、かなり聴きこまれた方になると、最後の3つのソナタ、作品109、作品110、作品111を連想されることでしょう。 
 シューベルトの場合も、「3大ソナタ」が「最後の3つのソナタ」であることも不思議な因縁を感じさせます。やはり晩年に書かれた『美しき水車小屋の娘』『冬の旅』、それに没後出版された『白鳥の歌』の3集が、彼の「3大歌曲集』と呼ばれていることは周知のとおりです。
 そして、モーツァルトが亡くなる3年前の1夏に立て続けに生んだのも、第39番、第40番、第41番の3つの傑作交響曲でした。これら「3大交響曲」が彼の最後の交響曲となったのです。
 オペラでは、ヴェルディ中期の3部作といわれるのが、『リゴレット』『イル・トロヴァトーレ』『ラ・トラヴィアータ』。プッチーニの1幕もの3部作は『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』です。
 ウィーン古典派3巨匠は言わずと知れた、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン。新ウィーン派トリオは、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルン。
 その他、チャイコフスキーの「3大バレエ」(「白鳥の湖」『眠りの森の美女』『くるみ割り人形』)、ストラヴィンスキーの「3大バレエ」(『火の鳥』『ペトルーシュカ』『春の祭典』)、コープランドの「3大バレエ」(『ロデオ』『アパラチアの春』『ビリー・ザ・キッド』)と、「3大〇〇」といわれるクラシック音楽関連事項をいくつか挙げてみました。
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 最後に、ミツマタのお隣に可憐に咲いている乙女椿に登場してもらって、春の歳時記を締めくくりたいと思います。この乙女椿は、前の庭から移植していただき、立派に根付いた偉い木なのです。わたくしが物心ついた時にはすでにありましたので、姉ということになります。
                                        2021年2月23日記