生誕250年を記念して、今年1月からクラシカジャパンのウェブサイトに『ベートーヴェンを取り巻く12人の音楽家たち』を連載しております。その第9回として「ベートーヴェンとワーグナー』が昨日アップされましたので、お知らせいたします。
https://www.classica-jp.com/column/18228/
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 ワーグナーがベートーヴェンに開眼したのは14歳の頃のことで、それはちょうどベートーヴェンの亡くなった年ですから、この二人は直接会ったことはありませんでした。ベートーヴェンにしてみれば、リヒャルト・ワーグナーというとてつもない少年がドイツの地に育ちつつあったことなど知る由もなく、3年後には、この少年によって、第九がピアノ独奏版に編曲されることしてしまうことなど予感もできませんでしたが、リヒャルト少年のほうでは、この巨人への尊崇の念を次第に大きなものにしていきます。
 そして12年後の、赤貧、床を舐めるが如きパリ時代、リヒャルトは、当時はそれでもまだ愛していた糟糠の妻ミンナと、大人の男性並みの体重を持つニューファンドランド種の愛犬ロッバーを食べさせるために、『ベートーヴェン詣で』という小説を雑誌に発表しています。これが意外な好評を得て、パリにおけるリヒャルト・ワーグナーの名は、作曲家としてではなく、小説家として知られるようになるのです。
 今回、この連載原稿を書くに際して、この『ベートーヴェン詣で』の対訳、といっても、もっぱら右ページの日本語訳ですが、それを改めて読み返し、物書きの端くれとして、ワーグナー大先生から学ぶものが多々ございました。
 ともあれ、『ベートーヴェン詣で』は、いろいろな含蓄を含む興味深い小説です。拙連載に、ストーリーも紹介しておりますので、どうぞ、下記クリックでご高覧くださいませ。
https://www.classica-jp.com/column/18228/
 ちなみに、『ベートーヴェンを取り巻く12人の音楽家たち』過去の8回は、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ツェルニー、ウェーバー、ロッシーニ、、シューベルト、リストです。各回とも、文中で触れた音楽作品もお聴きいただけます。
                                     2020年9月25日