萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2022年09月

 20世紀日本作曲界の旗手のお一人、別宮貞雄(べっくさだお)先生は1922年のお生まれで2012年に亡くなられました。わたくしはコンサートでしばしば、別宮先生のお姿をお見かけしつつ、お話したことはございませんでした。今年は先生の生誕100年、没後10年に当たります。  そ…
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  昨日9月28日の晩、大手町の日経ホールで、タカーチ・カルテットを拝聴してまいりました。1975年に創設されたこのアメリカのカルテットは、常設室内楽グループとして今では歴史、実力とも世界屈指の存在です。ただし、1990年代以降はメンバー交代が何度かあり、近年では第…
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 1791年の本日、9月28日に、モーツァルトはオペラ『魔笛』を完成させることができました。 俳優兼脚本家、芝居小屋の座長でもあったエマヌエル・シカネーダーからの「幅広い年代層が喜ぶメルヘン調のたのしい歌芝居を」という依頼に沿って、同年の春から作曲に取り掛かった…
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 世界屈指のSPレコード・コレクター、研究家のクリストファ・N・野澤先生が89歳で世を去られたのは、2013年8月13日でした。先生の多大なご助力のもとに何とかまとまった『宮澤賢治の聴いたクラシック』(小学館)の出版目前のことでした。今、本の奥付を見てみましたら、発…
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 本夕、紀尾井ホールで開催された、15歳のピアノの新星、アレクサンドラ・ドヴガンさんのリサイタルを聴いてまいりました。つい先日、同じ紀尾井ホールを会場とする同ホール室内管弦楽団定期演奏会のソリストとして登場なさった方で、そのときは、ショパンのヘ短調協奏曲を…
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「もう一回やりなおすというわけにはいかないのは承知していながら、コンサートになるといつだって、それをやりたくなったものです。弾くのをやめて、くるりと聴衆のほうへ向き直り、こういってみたくなるのです。「もう一回、やりなおしてみますから」そういってしまおうと…
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 本日9月24日、池袋の東京藝術劇場で、シェフのマエストロ・ヴァイグレ指揮、読売日本交響楽団第250回土曜マチネシリーズを拝聴してまいりました。1曲目はグリンカ『ルスランとリュドミラ』序曲、次いで、ロンドンを拠点とする、おそらくロシア系の若いピアニスト、パヴェル…
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 9月23日の本夕、紀尾井ホールで開催された、トレヴァー・ピノック指揮、紀尾井ホール室内管弦楽団第132回定期演奏会を聴いてまいりました。わたくしの貧弱な認識では、ピノックさんは優れた鍵盤楽器奏者にして、ご自身の創設されたイングリッシュ・コンサートを弾き振りな…
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 昨9月21日の夜は、としま区民センター小ホールで開催された古典四重奏団の『ベートーヴェンの時代2022 ムズカシイはおもしろい!!』を聴かせていただいてまいりました。1986年に東京藝術大学と同大学院の卒業生4名で結成されたこのカルテットは、もう結成36年。80数曲のレ…
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 本日は小平楽友サークルの講座の日でした。『名指揮者たちへの旅』シリーズの第2回として、シャルル・ミュンシュ(1891~1968)をとりあげ、このマエストロが独仏国境地帯のストラスブールのご出身で、同地が当時ドイツ領だったため「カール・ミュンヒ」として生まれられ、の…
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 本夕、サントリーホールで開かれた読売日本交響楽団第621回定期演奏会で、同響常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレさん指揮によるブラームス『ドイツレクイエム』+1曲を拝聴してまいりました。+1曲というのは、前プロとして演奏された、1961年生れ、アメリカの作曲家ダニ…
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 1931年2月11日のお生まれ、現在91歳と7か月になられる、小林武史先生のヴァイオリン・リサイタルを、9月18日の午後、王子ホールで拝聴してまいりました。台風14号の影響を受け東京もちょうど、天の水桶が逆さになったような大雨の真っただ中で、銀座の道路も川のような状態…
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 昨9月17日の18:00よりサントリーホールで開かれた東京交響楽団第703回定期演奏会を拝聴いたしました。指揮者は、ウズペキスタン出身のアジス・ショハキモフさんというお若い方で、情熱的で勢いのある弾けるような指揮をなさる方でした。2010年のグスタフ・マーラー国際指揮…
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 19世紀最大のピアノの巨匠、フランツ・リストが、オーケストラ音楽分野でも交響詩を創始し、標題交響曲も書くなど大きな仕事を遺したことは皆さまご存知の通りですが、彼の大規模ピアノ独奏曲が実はオーケストラ音楽に匹敵する書法とゆたかな内容を持っていることを、東京…
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 新ウィーン派といえば、シェーンベルクさんと、お弟子のベルクさん、ウェーベルンさんのお名前が浮かびます。そのうちのアントン・ウェーベルンさんはクロアチアに領地を持つオーストリア=ハンガリー帝国の貴族の家系の息子として、1883年にウィーンに生まれました。1904年…
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1965年ブルガリア生まれの世界的メゾ・ソプラノが東京で15年ぶりとなるRECITALを開かれました。ヴェっセリーナ・カサロヴァさんは、ウィーン国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭、バイエルン国立歌劇場などで長年主役を歌ってきた当代屈指のメゾソプラノです。 わたくしがこの方…
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 本日9月13日は、クララ・シューマンのお誕生日でございます。1819年のこの日に、ライプツィヒで音楽教室兼貸し楽譜、貸しピアノ業を営むフリードリヒ・ヴィークと、元は弟子であったピアニストにして歌手の妻マリアンネとの間にクララは生まれました。妻を私物と見なして、…
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 エフゲニー・キーシンさんは1971年10月10日生まれのもうすぐ51歳。昨2021年8月にザルツブルクの祝祭大劇場(2179席)で開催したリサイタルのライヴ・レコ―ディングの2枚組アルバムが、このほどリリースとなりました。開封してディスクを再生機にかけますと、流れてきた1曲…
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本日9月11にちは、サントリーホールを会場とする日本フィルの名曲コンサートを拝聴してまいりました。 大井剛史マエストロ指揮のヘンデル『メサイア』でした。 たいへん、やわらかな、気品あるマイルドな音楽づくりでいらっしゃりましたが、第2部からは毅然とした音楽表現…
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