萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

 2月22日、東京藝術劇場のマチネ公演では、エリアフ・インバル指揮 都響 マーラー:交響曲第10番全曲 クック版が休憩なしの75分コンサート、1本勝負で採り上げられました。マーラーは亡くなる前年1910年に、5楽章構成の第10番に着手したものの、この年の夏は彼に、運命の…
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 モーツァルト・ピアノ音楽の研究書も上梓されておられる名ピアニストの久元祐子さんとは、細々とお付き合いをさせていただいております。久元さんがフォルテピアノで演奏なさるモーツァルト~19世紀前半のピアノ作品は、いつ拝聴いたしましてもその温かな響きに魅了されま
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 諏訪内晶子さんが芸術監督を務める国際音楽祭NIPPONが現在進行中です。この音楽祭はかなり長期にわたるもので、1月にはサッシャ・ゲッツェルさんの指揮で、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲全曲演奏会2公演が東京で開かれ、そのあと2月に入ってから、大船渡、愛知で室内楽
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 昨日拝見した、東京文化会館制作の音楽舞台作品『ラヴェル最期の日々』の成功要素は数え切れないほど、多々、ございました。中でも、舞台上でこの方あってこそ、と痛感したのは、登場なさったときから「あっ、ラヴェル!!」と思わず叫びたいほど、この作曲家の一種独特の雰
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 モーリス・ラヴェルは1875年3月7日、スペイン国境に近いピレネー山麓の漁村シブールに生まれました。父ピエール・ジョセフはスイス生まれの技師で、フランス系サヴォア人です。そして母のマリーはバスク人でした。バスク人というのはフランス人ともスペイン人とも異なり、
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 東京芸術劇場では、日本で上演機会の少ない劇場作品に光を当て、同劇場の音響空間を生かしたコンサート形式上演ながら、歌手たちは衣裳をつけて臨場感のある歌とミニ演技を繰り広げるスタイルの、「コンサートオペラ」シリーズを継続しています。 昨年の第8回は、音楽の抜
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 昨日、旧居のかたずけ中に、あれやこれやのカセットテープの入った紙袋を見つけました。中に1点、フィリップスから市販された既製品「小澤征爾 マーラー/交響曲を語る」という未聴のカセットテープがございましたので、6日に亡くなられたマエストロのお導きだと感じ、こ
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 わが国屈指のフルート奏者、工藤重典さんがプロデュースなさり、指揮とソロを担当される、東京チェンバー・ソロイスツの第2回演奏会を、昨2月14日の晩、紀尾井ホールで拝聴いたしました。 開演に先だって、工藤さんがお話をされました。「2月6日に、本当に衝撃的な、悲し
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  2月11日、12日に、日本オペラ協会公演、新制作『ニングル』の世界初演を拝見したことは書かせていただいた通りですが、それ以来、ずっとこのオペラが頭の片隅を離れません。ゆたかになるために、と言っても、自分個人ではなく村全体がゆたかになることを願って、森を伐採
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